本文
三角縁陳氏作四神二獣鏡
三角縁陳氏作四神二獣鏡
古墳時代前期(西暦250~260年ごろ)の青銅製の鏡で、埼玉県内では初めて、東松山市内高坂で発見されました。同じ鋳型で作られた鏡(同笵鏡)が発見されていない新資料です。この鏡の発見は、ヤマト王権と密接なかかわりを持つ人物が古墳時代初めごろの東松山市域に存在していたことを示しています。背面には四柱(神は一柱、二柱…と数えます。)の神像と二体の霊獣が表現されており、銘文から陳氏が作ったことがわかります。直径は22センチメートルで、重さは1049.5グラムあります。
銘文
「陳氏作竟甚大好 上有戯守及龍虎 身有文章口銜巨 有聖人東王父(王)母 飲玉泉食棗」
(竟は“鏡”、守は“獣”の文字が当たる。)
釈文
陳氏の作りし鏡は甚だ大いに好ろしい。(鏡の)上に奇獣及び龍・虎が有る。(奇獣や龍・虎の)身には紋章が有り、口には巨を銜える。(いにしえに)聖人・東王父・西王母が有り、渇けば玉泉を飲み、(飢えれば)棗をくらう。
(巨とは大きな綱のことですが、この鏡の獣像はくわえていません。東王父・西王母は中国の神話上の仙人です。)
所蔵
東松山市埋蔵文化財センター(下野本528-1)
指定年月日
平成26年(2014年)3月25日(東松山市指定文化財-考古資料)