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梨づくりの1年
梨づくりの1年の流れ
梨の栽培は、年間を通して作業があります。
(1)花粉つけ(4月初旬)
4月初旬から中旬にかけて畑一面じゅうたんのように、白い可憐な花が咲きほこります。梨は、リンゴやイチゴとともにバラ科の果物の代表格です。いずれも品種改良により種類が豊富なことがバラ科の果物の特徴になります。
現在、東松山の梨は、「幸水」「豊水」「新高」を主体にし、新品種の「彩玉」「秋月」などを生産しています。花が先に咲く種類ほど収穫までの期間が長くなります。
花びらの枚数はほとんどの種類で5枚、めしべの先に柱頭が5つ、めしべのまわりにおしべが約20本ありますが、種類によって形や色、大きさに違いがあります。本来、昆虫や風などを介して受粉をしますが、一部の例外を除き、自分と同じ種類の梨の花粉では上手く受粉できず、また5つの柱頭すべてに受粉しないと梨の形がいびつになってしまうので人の手で受粉の手助けをします。梨の花が咲くころ、つぼみを摘み、花粉を採取し、2週間程度かけて花1つずつに綿棒を使って3回程度受粉させます。
種類によってこんな違いがあります
新高の花
花びらが5枚
幸水の花
花びらが10枚
主な品種の開花期と収穫期(平成10~19年平均)
(注意)彩玉は平成13~19年平均
花が先に咲く種類ほど収穫までの期間が長い特徴があります。
始め | 終わり | |
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開花期 | 4月9日 | 4月20日 |
収穫期 | 8月11日 | 8月28日 |
満開~収穫 までの日数 |
117日 |
始め | 終わり | |
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開花期 | 4月6日 | 4月17日 |
収穫期 | 8月29日 | 9月12日 |
満開~収穫 までの日数 |
138日 |
始め | 終わり | |
---|---|---|
開花期 | 4月3日 | 4月14日 |
収穫期 | 9月21日 | 10月9日 |
満開~収穫 までの日数 |
166日 |
始め | 終わり | |
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開花期 | 4月4日 | 4月13日 |
収穫期 | 8月21日 | 9月5日 |
満開~収穫 までの日数 |
134日 |
貴重な花粉の採取
花粉の採取は梨の栽培にとって大事な作業です。かご1杯のつぼみからとれる花粉の量はわずか10グラム程度。梨農家にとって花粉はとても貴重なものです。この作業だけでは花粉つけに必要な量が確保できないので市販されている花粉を足して花粉つけを行うこともあります。
(1)つぼみを摘みます
(3)花の軸などが混ざっているので、ふるいにかけて更に余計なものを取り除きます。
(4)葯をトレイに敷き詰めます。
(5)開葯機という機械に入れて、25度前後の温度で約24時間加温します。
(6)葯が開き、黄色の花粉が採取できます。
(2)摘果(5月初旬~6月初旬)
花も咲き終わり、花粉つけをした花が実になり始めます。5月の初旬から6月初旬にかけて摘果作業を行います。
摘果作業とは、果実の実の数を制限し、個々の梨により良く栄養がいきわたるようにする作業です。1つの房に7つ前後の実ができるので位置や品質(形が良く大きい玉)の良いもの、軸の長いものなどから最も良い実を残して他は落とします。その後、成長を見ながら最終的に1つの枝で葉の数が30枚程度に対して1個の実がなるように調整していきます。
理想の摘果
枝に近い方から1番果、2番果、3番果…と言います。摘果作業は、3~5番果の実を残すのが理想的です。特に一番近い1番果は実が大きくなりますが、形が悪くなりやすく、また枝の成長を妨げてしまいます。また、上にいくにつれて実の形は良くなりますが、あまり大きくならず糖度もあがりません。
(3)袋かけ・ネット張り(6月初旬~下旬)
袋かけ
この時期の梨は、直径3センチメートルくらいになりユズくらいの大きさになってきます。しかし、小さいながらも形はりっぱな梨の形です。
6月の初旬から2週間程度かけて虫や病気、鳥などから梨を守るために紙袋をかける作業を行います。梨を直接手で持つととれてしまうので軸を持って袋が梨にあたらないようにそっと入れていき、口の部分を針金で縛ります。軸が短かったり、木の枝が邪魔をしたり、入れ忘れがないようにするため袋かけはとても苦労する作業です。熟練した人でも大体30分で100個程度の梨にしか袋をかけることができません。そして全部で16、000~20、000個くらい梨に袋をかけていきます。
ネット張り
その後、6月下旬にかけて梨園にネットを張る作業を行います。ネットには目の細かいものと粗いものがあり、細かいネットはカメムシなどの虫やヒョウ被害を防ぐ効果、粗いネットにはカラスやムクドリなどの鳥を防ぐ効果があります。
ネットは、梨園の一方に巻いてあり、もう一方の側のロープを引っ張ると広がるようになっています。伸びた枝に引っかかり、上手く広がらず少しずつ脚立に登り、棒を使って直しながら梨園全体に広げていきます。
カラスの被害にあった梨
(4)総点検(7月)
摘果の見直しや収穫に使う道具などの準備、かん水など収穫前の総点検を行います。消毒や除草作業もその一つです。
消毒は、3月下旬から7月にかけて月3回程度行い、8月以降は状況を見ながら作業します。除草作業は、特に梅雨が明け、草も伸びるのが早いこの時期に念入りに行う必要があります。
また、梅雨明け後には、たっぷりの太陽の光と適度な水が必要です。そのため雨が降らない場合にはかん水作業を行います。かん水作業とは、スプリンクラーなどを使って水やりをすることです。水をもらった梨はこの時期さらにグングン大きくなります。
(5)収穫・販売(8月中旬~10月中旬)
いよいよ待ちに待った収穫の時期。緑がかった実が、黄色に変わってきたら収穫の合図です。
遠方から梨を買いに来ていた人が、「東松山の梨は、おいしいし、安全なので贈り物としても喜ばれるんですよ。開店したと聞いて飛んできました」と話していました。
梨を作る人にとって一年間の苦労が報われる瞬間です。
(6)剪定・誘引・接ぎ木(11月~3月)
剪定作業とは、余分な枝や芽をのこぎり、はさみを使って切り取る作業です。木が高くなると作業がしにくくなったり、枝の先に養分が届きにくくなるので実が小さくなります。それを防ぐために上の方へ伸びていく枝を切ります。そして、梨の木に十分に日光が当たらないと大きくて、おいしい梨にならないので、残った枝どうしが重ならないよう枝を曲げて、果樹棚と呼ばれる針金に紐でしばっていく誘引という作業を行います。接ぎ木とは、主となる木に別の木を接ぎ足し品種を更新したり、新しい枝を伸ばす作業です。
梨の病気
鳥やヒョウの被害と並んで注意しなければならないのが「黒星病」と「胴枯れ病」です。
黒星病
黒星病は、梨の表面に黒く粉のようなものが付き、表面が割れてしまう病気です。袋をかけてしまうと梨の状態がわからなくなるので袋かけと同時に、黒星病などの病気がないか1つずつ梨を確認します。もし、黒星病になった梨を見つけたら、黒い粉が周りの梨に飛んで行かないよう梨園の外に廃棄します。
胴枯れ病
胴枯れ病は、文字どおり幹や枝が、枯れてしまう病気で、発生後そのまま放置しておくと、樹全体が枯れてしまう病気です。この病気の病原菌は、農薬によって防ぎ易い病気ですが、一旦発病すると病原菌が、幹の内部に侵入するため、治療ができません。患部より先の枝は、完全に枯れてしまいます。感染後の対策としては、治療がほぼ不可能なため、病気が梨の木の基部に広がらないよう、感染部分を切除します。
担当
農政課(電話0493-21-1400)
商工観光課(電話0493-21-1427)